06  イニア島南部  クルス・オクタゴーノ

 アランもウィリーも被弾していたが、撤退する気にはなれなかった。F/A-47も自分たちも、まだ戦える。そして、ここでクルス・オクタゴーノを守りきれなければ連合に未来はない。何より、本来の動きを取り戻したあの黒い機体は今も友軍を墜とし続けている。
 あの黒い機体に何も借りを返していない。
 そんな中、敵の第4波がさらに違う方向からクルス・オクタゴーノに飛来する。
 邪魔な敵機を叩き落とし、敵の第4波の編隊に接近する。第4波もあの黒い機体で、おそらく攻撃オプションの機体。既にクルスオクタゴーノの懐まで侵入していた。
 要塞から砲火が上がり、おそらく最後であろう敵の攻撃を易々と許そうとしない構えだ。
 外縁部の迎撃施設に被害が出たものの、中央部の対弾道弾用のレールガンへの被害は軽微だった。そして、主力の爆撃機部隊も既に失い、この第4波を排除すれば今回のルージア空軍のクルス・オクタゴーノへの空爆は失敗に終わるだろう。
 せめて最後にレールガンにダメージを与えようとする無人機の群れ。全機が全速で要塞の中心に向かって一直戦に飛ぶ。要塞の砲台からの無数の近接防御で遼機が墜ちても、機械たちは墜ちる事を全く恐れずに目標へと突き進む。

 犠牲を恐れない無人機たちは、1機でも目標に近づければいいというように最短コースでクルス・オクタゴーノの中枢へと迫った。
 敵の編隊を射程に捉えようとした矢先、
 「全機反転!」
 と、先頭を飛ぶシェイファー少佐が緊迫した声で叫んだ。

 その唐突な命令に皆よくわからずにいると
 「もう間に合わん! とにかく全機退避しろ!」
 と、付け加えて機体を反転させた。
 尋常ではない声音だった。アランとウィリーは本能的にそれに従い、機体を反転させた。



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